ハグくしろインタビュー

子供に関わる全員で事前準備を。今からできる予防策

 ある日、急に訪れる子供の病気やケガ。家庭で様子を見るべきか、医療機関へ連れて行った方が良いか、判断に迷うこともあるでしょう。それが病院が閉まっている夜間であれば、なおさらです。急な病気やケガの際、救急車を呼ぶのに必要な判断は?釧路市で10年救急隊を務めた井出さんに、子供に多い事例や判断基準、予防策について伺いました。いざというときに慌てないためのコツとは?

活動についてお教えください。
 釧路市消防本部では8隊の救急隊を運用しており、釧路市と白糠町からの救急要請に対応しています。救急出動は年々増加しており、昨年救急車で搬送された方は過去最多の9,625人。うち0~6歳の子供は276人です。多くは急病によるものですが、うち20%は一般負傷(転倒転落、誤飲、窒息、熱傷など)が占めています。
 消防本部では応急手当の普及を目的に救命講習を開催しています。さらに、職員が出向いて新生児や乳児に特化した内容の講習を行うことも可能です。

子供の出動実績において、予防策など感じることは?
 子供は自分の状態を言葉で伝えることができないため救急車を呼ぶか迷うこともあると思いますが、別添の資料(救急車利用リーフレット(子供版)PDFデータ)に書かれている症状がある場合はすぐに119番通報をしてください。その他で迷った場合は、全国版救急受診アプリ「Q助」で対応を確認したり、北海道小児救急電話相談窓口(#8000)へ電話してみるのも良いかもしれません。
 救急出動の中で未然に防ぐことができる可能性が高いのは一般負傷です。昨年釧路で発生した一般負傷の中で1番多かったのは転倒。浴室で転んだり、テーブルの角にぶつかったりする事故が発生しています。2番目は転落。階段やベッドから落ちる事故が発生しています。3番目はタバコや電池などの誤飲。子供の口はトイレットペーパーの芯と同じ大きさと言われており、芯を通るものは誤飲する可能性があります。転倒や転落の事故に対しては柵やクッション材の設置でカバーできることもありますが、確かな予防策は目を離さないことです。

子育てに関わる周囲ができることは?
 どれだけ予防策を講じて気を付けていても、完全に防ぐことが難しいのが子育てです。そこで重要なのは、いざ事故が起きてしまった時の対応を事前に確認しておくことです。
 「呼びかけても反応しない」「物を詰まらせて苦しがっている」などの状況では、そばにいる家族の「早期な通報」と「応急手当」がとても重要です。そのために必要な知識や技術は救命講習で学ぶことができます。ママさんグループなど小規模の団体からの要望にも対応可能なので、多くの方からのご連絡をお待ちしております。

釧路で子育てされている方々へメッセージを。
 私が出動した救急現場では、子供の親御さんが動揺し混乱する場面をよく目にしました。
 私にも11ヶ月の娘がおり、子育て奮闘中ですが、自分の娘も転んで頭をぶつけたことや紙を食べてしまったことがあり、救急隊として働いてきた私も自分の子供のことになると焦ってしまいました。なので、皆さんの気持ちはよく分かります。
 しかし、いざという時こそ、そばにいる家族の適切な対応が重要です。大切な子供の命を救うためにも、ママだけではなく、パパや周囲の方も含めた家族全員で事前準備をお願いします。

【INTERVIEWEE】
井出 裕朗(いで ひろあき)
1984年白糠町生まれ。救急救命士。釧路市北陽高校卒業後、北海道ハイテクノロジー専門学校救急救命士学科(恵庭市)へ進学。卒業後、釧路市消防本部へ就職。10年間救急隊員として出動。2019年4月より警防課へ移り、救急に関わる窓口業務を担当。救急・救命講習会の講師も行っている。
・救急・救命講習会申し込み/https://www.city.kushiro.lg.jp/bousaikyu/shoubou/kyuukyuu/koushuu/cat00000414.html

関連記事