ハグくしろインタビュー

地域全体での子育てにつながる里親制度

 何らかの事情により生みの親の元で育つことができない子供は、日本全体で約4万5千人。親の病気や離婚、虐待など事情はさまざまで、多くが施設で生活しています。しかし、世界的に見ると里親の元で暮らすケースが圧倒的に多く、家族の在り方も多様化しています。事情を抱える子供たちにとって、コミュニケーションの基盤を築く機会になったり、大人になった際の家庭のロールモデルを学ぶ機会になる里親制度。10月は里親月間ということもあり、北海道釧路児童相談所の阿部弘美所長にお話を伺いました。

制度についてお教えください。
 里親制度は4種類あり、一般的に知られているのは「養子縁組里親」です。養子縁組は2種類あり、親権を持つものの生みの親とも親子関係が残る「普通養子縁組」と、法的に生みの親との関係が消滅する「特別養子縁組」がありますが、養子縁組里親は特別養子縁組を希望する方が登録します。「特別養子縁組」は原則6歳未満の幼児が対象でしたが、今年から原則15歳未満に引き上げられました。その他、両親が亡くなるなどの理由で親族が養育する「親族里親」、専門的な養育を行う「専門里親」もあります。
 日本では里親と聞くと特別養子縁組というイメージが強いかもしれませんが、児童相談所として知って欲しいのは「養育里親」。18歳になるまでの子供を一時的に養育するケースです。一人親が入院するためなど、数日から2、3週間預かる場合もあれば、年単位で養育する場合もあります。釧路管内には赤ちゃんの保護施設である乳児院がないので、乳幼児の預かりをお願いすることも。

釧路管内の現状は?
 世界的に見ると日本は里親委託の水準は少なく、全国では施設で暮らす子供が82%、里親などと暮らす子供が18%の割合です。しかし、釧路・根室管内においては異なり、施設で暮らす子供が53%、里親などと暮らす子供が47%と、里親委託率は、全国に誇れる水準が10年以上も続いています。里親の年齢は60歳代の方が多く、子育てが一段落し社会貢献も兼ねてという方が多い印象です。

釧路の方々へメッセージをお願いします。
 里親制度には経済的に困っていないことが必要条件にあるため、裕福でなければならないというイメージがあるかもしれません。しかし共働き世帯や、サポート可能な人手があるシングルマザーも講習や実習などを受けて養育里親として登録できるケースもあります。釧路・根室管内は全国の中でも人口の割に里親が多い状態ですが、児童相談所としては子供にとっての選択肢が多いほどサポートの幅が広がります。短期の預かりを希望されるケースは多いため、興味がある方はお気軽に相談してください。

その他、児童相談所として知って欲しいことなどは?
 2020年4月から、親などによる体罰の禁止が法律に加わりました。「しつけ」と称した暴力で命を落とす子供が相次いだことが原因の一つです。体罰には暴力だけでなく暴言も含まれ、小児科医でもある福井大学の友田明美教授らによって脳科学的にも悪影響を及ぼすことが明らかになっています。しかし、いざ子育てに向き合うと難しく感じられる場合もあるでしょう。当児童相談所では子育てにおける工夫のポイント(PDF)や、子供との良い関わりを学ぶペアレントトレーニング等を紹介しています。サポートを上手に活用しながら子供を健やかに育んでくださいね。


【INTERVIEWEE】

阿部 弘美(あべ ひろみ)
帯広市出身。北海道職員として入職し、福祉施設・病院等での勤務を経て、2007年から児童相談所勤務。2018年より現職。社会福祉士。
・北海道釧路児童相談所/http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/ksj/index.htm

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