「ダメ」ではなく「どうしたい?」、気持ちをくむイヤイヤ期【ハグくしろ】

 育児において戸惑いや悩みの種となりやすい「イヤイヤ期」。初めての子育てや妊娠中で心の余裕がないときなど、どう向き合い、どう接することが良いのか困ってしまう親御さんもいると思います。しかしながら「イヤイヤ期」は子供にとって大切な成長過程のひとつです。今回は釧路短期大学で多くの保育士や幼稚園教諭を指導されてきた、幼児教育学科の小林麻如先生に「イヤイヤ期」とその対応について伺いました!

「イヤイヤ期」とは?
 イヤイヤ期は、感情の発達による自己主張や自己表現が表れる時期です。1歳半前後と3歳前後の2度訪れます。特徴として、一度目は「それは嫌だ」という感情の発達によるイヤイヤ、二度目は「自分でやる」という自己主張ができるようになるイヤイヤです。その年齢の子供ができる精一杯の気持ちの表現で、言葉で伝わらない歯がゆさから泣いたり、物を投げたりすることで分かってもらおうとします。どちらも自身の意見を上手に伝え、主体的に動ける人間に成長していくための、大切な発達です。

どのように対処したら良いでしょう?
 子どもの気持ちを受け止める親の姿勢が大切です。
 1歳半児であれば「そうだね、イヤだね」とまず共感。そして、イヤイヤの裏側にある子供の気持ちをくみとり、具体的に対処していきます。例えば、靴下をはきたくないのなら「靴下を2組見せてどちらをはきたいか」と選択肢を与えてあげる。靴下をはいてほしい大人とはきたくない子どもとの間で折り合いの付け所を考えます。
 3歳児であれば、できる限りトライさせてあげることです。トライさせてあげる余裕がないときは約束をしましょう。「今度」「後でね」と言って約束を忘れてしまうのは最も避けたいこと。具体的な時間を約束して大人が守ると、子どもも受け入れるようになります。

ワガママな子にならないためには?
 善悪の線引きをするのは大人の仕事。大人の言動に一貫性がなければ、子供は「おもちゃを買わないと言っていたのに、泣いたら結局買ってもらえた」と、押すと通ることを学習してワガママを助長します。対処が難しいときは、「車に戻ってお菓子を食べようか」など子供にとっておもちゃと同じくらい魅力的なものを用意しておいて選ばせてはどうでしょう。お腹が空いたなどの生理現象を我慢をさせる必要はないので、場面ごとの判断が必要です。
 また、好ましくない行動を止める時に「ダメ」は使わず「名前」で呼ぶことから始めてみましょう。机に上っていたら、「ご飯を食べる場所だから降りてね」。叩いて訴えてくるようであれば、「(叩く代わりに)ねぇって言ってね」と伝えます。3歳児であれば「○○するよりも△△だったらどう?」と選ばせ「そうしてくれて嬉しい、ありがとう」と伝えてください。

子育てをする方々へメッセージをお願いします
 一般的に子供はまだまだ褒められ足りないと感じています。例えば、ゴミを捨てるという当たり前の行動に対し、ゴミを捨てようと動きはじめたとき・捨てようとゴミを持った瞬間・持っていくとき・捨てたときと4回は褒めるタイミングがあります。褒められることで幸せホルモンが分泌され、自己肯定感も育つのです。よく子育て中の方々に「今からでは遅いのでは?」と聞かれますが、遅くはありません!気付いたとき、心がけたいと思ったときが始めるのに最適な機会だと思っています。たくさん褒めて、子供を幸せにしましょう。

【INTERVIEWEE】
小林 麻如(こばやし まき)
釧路市生まれ。
釧路短期大学を卒業後、武蔵野大学卒業、北海道教育大学大学院教育学研究科学校教育専攻修士課程修了。
社会福祉士、精神保健福祉士、認定心理士。
釧路市立児童発達支援センター・市立保育園勤務を経て今年4月より釧路短期大学幼児教育学科専任講師として勤務。
・釧路短期大学/http://www.midorigaoka.ac.jp/kushirojc/


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