子供の歯は大人が守る。乳歯ケアの大切さ【ハグくしろ】
自分の歯で食べ物をしっかりとかみ、飲み込むことは、健康で長生きするためにとても大切です。むし歯や歯周病の細菌が全身疾患などの深刻な病気につながったり、かみ合わせが悪いと認知症が進むといった研究結果もあります。将来1本でも多く自分の歯を残すためには、乳歯の段階からのケアが欠かせません。釧路の地で25年もの間子供のお口の健康維持に携わり、学校歯科医としても活動している、チャイルド歯科長内医院の院長、長内信辰先生に、乳幼児の歯のケアについてお話を伺いました。
乳幼児の歯磨きは、いつから、どのようにしたらいいですか。
歯が生え始めたら歯磨きは必要です。何かを食べたり飲んだりしたら都度歯磨きをすることが望ましいのですが、それが難しい場合、まずは1日3回、毎食後の歯磨きを徹底するようにしてください。中でも夜の歯磨きは特に念入りに。むし歯は夜寝ている間に作られるからです。外出先だったり寝てしまったり…と、歯磨きが出来ない時は、お水で口をゆすいだり、歯磨きシートで歯を拭いたりするだけでも違います。
歯磨きを嫌がるお子さんが多いですが、まず「歯ブラシは痛くない」と教えてあげることが大切です。押さえつけていきなり歯ブラシを口の中に突っ込まれたら大人でも嫌ですよね。歯磨きの歌をかけたり、ママだけでなくパパやおじいちゃん、おばあちゃんに手伝ってもらいながら、「歯ブラシは痛くない」、「歯磨きは楽しい」と、時間をかけて教えていってください。
3~4歳くらいまでは歯ブラシを持たせてもかじったりして上手に磨けません。9歳くらいまでは仕上げ磨きをして、大人がお子さんのむし歯を予防してください。特に、6歳頃生えてくる初めの永久歯(6歳臼歯・奥歯)は、生え始めはとてももろく、むし歯になりやすい。6歳臼歯を抜歯しなければならないお子さんも少なくなく、生え始めから念入りなケアが必要です。歯が強くなるフッ素塗布は3~4カ月おきがおすすめ。特に生え始めは吸収しやすいので、定期検診と共にぜひ取り入れてください。
歯ブラシは小さいヘッドで柔らかい毛のものを選んでください。お子さん自ら歯ブラシを持ち歯磨きをすることはとても大切なことですが、その際は事故防止のため必ず大人がついていてあげてください。
もしむし歯になったら、どのような治療が必要ですか。
2~3歳くらいまではむし歯を削る治療は難しいため、フッ化ジアンミン銀を塗布し、むし歯の進行を止める処置を行います。しかしこれは、塗布した箇所が黒くなるため、見た目に嫌悪感を抱かれる親御さんが多いです。より深いむし歯の場合は、大人と同じ治療となります。神経までむし歯が進行して、治療せずに放置してしまうと、次に生えてくる永久歯にも影響してしまいます。永久歯のエナメル質が弱くなり、むし歯になりやすくなるのです。また、歯並びも悪くなることが多いです。
当院での治療では、最初に必ず使う器具を子供に見せます。実際に作動させ、触らせます(痛くない)。これでゴリゴリするからねと伝えると、大体のお子さんは安心し、治療させてくれます。
親御さんへのアドバイスも行っています。夜間授乳がある1歳の赤ちゃんがむし歯でいらした際は、授乳後は赤ちゃんの歯を市販の歯磨きシートやウェットティッシュで拭いてあげてくださいとお伝えしました。
子育てをする方々へアドバイスをお願いします。
何事もお子さんが物事に対して最初に抱くイメージが重要だと考えます。歯磨き自体がお子さんにとって苦しく嫌なものとならないようにご家庭で工夫してみてください。前述しましたが、9歳までのむし歯は親の責任と言っても過言ではありません。お口の健康=お子さんの健康だということを意識してくださいね。
また、現代のお子さんは顎が小さい傾向にあります。通常、乳歯と乳歯の間には隙間があるのですが、顎が小さいためその隙間がないお子さんが目立ちます。隙間は、唾液がそこを通りむし歯を予防してくれたり、乳歯の1.5倍の大きさの永久歯がしっかり生えてくるためのスペースでもあります。顎を大きく発達させるためには、奥歯で堅いもの・歯応えのあるものをよくかみ食べることです。例えば、ハンバーグではなく歯ごたえのあるポークステーキを食べるなど。家族でお子さんの歯を守っていきましょう。
【INTERVIEWEE】
長内 信辰
平成元年 松本歯科大学 卒業 東京都町田市 勤務
平成5年 中村歯科(釧路市) 勤務
平成7年 チャイルド歯科 長内医院 開業
チャイルド歯科 長内医院
住所:釧路市春日町11-13
電話:0154-23-8115 FAX:0154-23-8116
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