アイスホッケー釧路市

クレインズ3年目の戦い〈上〉 全日本連覇もコロナ禍で苦境

 釧路を本拠地、道東全域をホームエリアとするアイスホッケークラブチームのひがし北海道クレインズは、アジアリーグジャパンカップ2021の全日程を終了、チーム設立3シーズン目を完走した。選手が結果を残し運営も軌道に乗せる“勝負の年、、と目されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化で苦戦を余儀なくされた。栄光と誤算の間で戦った今季を振り返り、来季を展望する。(山本雅之)

 6人減19人で船出

 「新型コロナウイルスの感染拡大に関連した国からの助成なども先細りが見込まれる。試合を継続的に開催できるかどうかが試される一年になる」。クレインズを運営する田中茂樹代表は21年4月、本紙の取材に対し、創設3年目もコロナ禍での厳しい運営は必至と覚悟を固めていた。2年続けて国内勢のみによるジャパンカップを意識。選手にも「好待遇を提示して残す余力はない」と説いた上で、契約を結び、前季当初比6人減の19人で船出した。

 戦力が大幅に落ち下位低迷が懸念されたが、前期日程(9月11日~11月28日)は勝率5割の3位と善戦した。開幕直前にDF米山幸希選手(21)とFW荒木翔伍選手(21)の釧路出身の若手コンビが入団。10月にはDF伊藤賢吾選手(43)が戦線復帰。中盤以降は総勢22人で挑み、プレーオフ争いで優位に立てる2位の座をめぐって栃木日光アイスバックスと競り合った。

 連覇が懸かった全日本選手権(12月16~19日、長野県)では、日本製紙時代からの伝統といえる短期決戦・トーナメント戦での強さを発揮。1回戦で社会人チームの日本製鉄室蘭に圧勝。準決勝でアイスバックスを延長、ゲームウイニングショット(GWS)の末に撃破。決勝では東北フリーブレイズに逆転勝利を収め、大会連覇を成し遂げた。最優秀選手賞に輝いた大津晃介副主将(28)は「優勝したぞ!」と、テレビ観戦するファンらに届けとばかりにトロフィーを掲げた。集合写真には選手、スタッフ、田中代表も輪に入り、喜びを分かち合った。

 ホームでクラスター

 全日本選手権連覇と、日本製紙時代からアイスホッケー界の顔として活躍し、今季は営業部長としてスタッフ兼任でプレーしたFW西脇雅仁選手(39)の1月7日の引退発表を商機ととらえて、企画を打った。機運が醸成して追い風に乗ったかに見えたが、思いがけない不運に見舞われた。1月15、16の両日の釧路開催のホームゲームで新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生。選手、スタッフ、さらに観客にも波及し、166人が感染した。

 保健所の指導の下、感染予防対策を講じて実施したが、コロナ禍でのスポーツ観戦における最大規模のクラスターとなり、1月下旬以降の試合は中止または無観客試合となった。クレインズは試合を取り仕切った立場上、陳謝。選手も治療、療養が最優先で、氷上練習はもちろんチームの活動も行えない日々が続いた。コロナ禍で高揚感は一蹴された。

[写真/全日本選手権連覇を果たしたひがし北海道クレインズ。歓喜の輪は全国各地で応援するファン、スポンサーにも連鎖した ]


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