テツ男社長のたわごと

くしろ湿原ノロッコ号

 くしろ湿原ノロッコ号が、今年も運行を始めました。同列車は、ひがし北海道の釧網本線(釧路~塘路・川湯温泉)を走る観光列車です。

 釧路湿原国立公園は、1987年に誕生しました。それを機に、列車から同湿原を楽しんでもらいましょうと、1989年に生まれたのが同列車です。ノロッコとは、「トロッコ」と「鈍(のろ)い」を掛け合わせた造語で、JR北海道の社員が考えました。

 当初は、白を基調としてDE10が旧型客車や緩急車、貨車をけん引していました。しかし、需要が高まり1998年から緑を基調とした新型展望車両が登場し、現在に至ってます。

 

塘路駅を出発する旧くしろ湿原ノロッコ号(1997年6月撮影)

 

 今年は4月29日から運行を開始、10月10日まで釧路と塘路の間を運行します。そのうち6月11日と10月8日まで川湯温泉まで延長し、また、9月20~22日は湿原に沈む夕日を楽しめる「夕陽ノロッコ号」も運転します。日によって運休したり、2往復になったり、時刻を変更する場合もありますので、乗車の際にはJR北海道のホームページ くしろ湿原ノロッコ号|道東方面の観光情報|駅・鉄道・旅行|JR北海道- Hokkaido Railway Company (jrhokkaido.co.jp) をご確認ください。

 さて、5月1日に乗車しましたので、ご報告します。

 

釧路駅で出発を待つノロッコ号

 

 編成は、DLがDE10-1661、1号車がオハ510-1(自由席)、2号車が展望車両で販売カウンターのあるオハテフ510-1(指定席)、3号車が展望車両のオハテフ500-51(同)、そして4号車が運転席も備えた展望車両オクテハ510-1(同)です。

 展望車両は、釧路川側の座席がテーブルを挟んで6人掛け、湿原側は背もたれが可動式の2人席です。

 

開放感のある指定席の展望車両(塘路駅で撮影)

 

 展望車両もいいのですが、〝鉄〟としては自由席のオハ510-1がいいですね。4人ボックス席でシートの色は青、窓は上昇式で北海道の車両特有の二重窓。扇風機には国鉄時代のJNRのマークもあります。

 

ボークスシートの自由席オハ510-1(塘路駅で撮影)

 

 釧路駅を11時6分に出ると釧路川橋りょうにさしかかります。SL冬の湿原号のシーズンには、多くのファンの方でにぎわう撮影の名所です。

 

強い風の中、釧路川橋りょうを渡るノロッコ号(2022年4月29日撮影)

 

 東釧路駅に到着します。ここで注目してほしいのは、駅舎前にある釧網本線のゼロキロポストです。同駅は、根室へ向かう根室本線(花咲線)との分岐駅です。

 

東釧路駅にある釧網本線のゼロキロポストとノロッコ号(2022年4月30日撮影)

 

 遠矢駅に向かう途中、国道391号と併走しますが、道路越しに釧路川、湿原が見渡せます。遠矢を過ぎるといよいよ釧路湿原に分け入ります。まず見えてくるが岩保木水門。明治から大正時代にかけて釧路川が氾濫して釧路市は洪水に悩まされました。そこで釧路市中心部から約15キロ上流からバイパスの水路を設けることにしました。それが新釧路川で、釧路川と新釧路川の境にあるのが岩保木水門です。ですが、この水門は完成以来、一度も開けられたことがありません。屈斜路湖から流れてきた釧路川は、この水門をすり抜けてすべて新釧路川に流れています。この辺で名刺サイズの乗車証明書が車掌から手渡されます。往路と復路は違いますから往復乗りましょう。

 

ノロッコ号から見える岩保木水門=遠矢~釧路湿原

 

 さて2号車の販売カウンターをのぞいてみました。ノロッコ号オリジナルのチョロQやマスキングテープ、牛乳プリンなどのほか、今シーズンから新発売したのは「デザインBOXクッキー」と「笑顔のフィナンシェ」です。乗車の際には、ぜひ販売カウンターにお立ち寄りください。カウンターの近くで、ガイドさんが沿線風景を説明しています。

 

新発売の「デザインBOXクッキー」(右)と「笑顔のフィナンシェ」(左)

 

 岩保木水門の前後に白いミズバショウが姿を現します。乗車した5月1日は、ちょうど見ごろでした。次の停車駅、釧路湿原は1988年に開業しました。駅舎を正面から見るとタンチョウが羽を広げたイメージです。釧路湿原駅を発車してしばらくすると左側に釧路川が寄り添います。次の細岡駅を発車すると左側にカヌーステーションが見えます。塘路湖から細岡まで釧路川を下ると90~120分かかります。機会がありましたら川下りもお楽しみください。

 

ノロッコ号と釧路川が最も接近する場所は徐行=細岡~塘路

 

 しばらく走ると釧網本線と釧路川が最も接近する区間を通ります。ここでは最徐行して、蛇行する釧路川を間近に見ることができます。もしかすると、川下りするカヌーを見られるかも・・・。終点の塘路は1番ホームに11時51分到着です。駅前には各種売店があり、乗客のみなさんを歓迎します。売店の中には標茶町で育った鶏卵からつくった卵サンドや海苔巻き、今年からハンバーガーのお店もオープンしました。

 

帰りの釧路行は推進運転、オクテハ510-1で後部のDE10を制御=塘路出発(2022年4月30日撮影)

 

 客車4両で走るノロッコ号は、適度な速度で走るので線路の継ぎ目を通過する際の「タタッタタン」という音が体に合う?ような気がします。また、1号車に乗車すると、DLの息づかい(エンジンをふかす音)も聞こえてきて、国鉄時代の客車列車を彷彿させます。自然の中を走る楽しみもありますが、〝鉄〟にとってもおもしろさがたくさんあります。ぜひ乗ってみてください。

 

ノロッコ号「タタッタタン」というリズムは往年の客車列車を思いだします。「カシャカシャ」という音は幌の擦れ合う音です(くしろ湿原ノロッコ1号 遠矢~東釧路 音のみです)


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