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自宅訪問213回 30人説得、29人受診 認知症初期集中支援チーム【釧路市】

  認知症基本法が1日施行されたが、認知症の早期診断、早期対応を目指し釧路市が2017年度から設置している「認知症初期集中支援チーム」は、特に認知症が疑われる受診拒否者を対象に、23年度1月中旬までに計30人に対し213回にわたって自宅を訪問し、医療機関への受診に結び付けている。認知症は今後一層、高齢化率が高まる地域事情から大きな課題だが、同チームの一員である市地域包括支援センターが日常的な相談、支援活動の中で解決するケースも多いとみられている。(郷裕策)

 同チームは、道の認知症疾患医療センターに指定されている釧路孝仁会リハビリテーション病院(星が浦大通3)に業務を委託し、同病院の看護師ら医療職と市内7カ所の地域包括支援センターの専門職員、市介護高齢課の職員が連携し、2人以上で家庭訪問している。

 具体的には最初に、地域住民のさまざまな相談に応じている同センターが聞き取りなどで対象者を把握する。この中で、自宅訪問支援の実績は17年度2人(訪問11回)、18年度6人(同19回)、19年度4人(同43回)、20年度3人(同9回)、21年度4人(同35回)、22年度7人(同48回)、23年度1月中旬現在4人(同48件)の計30人(同213回)に達した。

 同課では「やはり白衣の看護師さんが訪れる効果が大きい。血圧測定や触診などを行って健康状況を説明すると、素直に聞いてくれる」と説明する。しかし訪問人数に対し訪問回数は非常に多い。「病院嫌いだったり、孤立化していたりと極端に訪問回数が多いケースがある。この場合、顔を覚えてくれるところからの関係性をつくるのに時間がかかる」。

 しかし、これまで約7年間にわたる活動の中で、同センターの専門職員がより力を付けてきたという。日常的な活動の中で親身に相談に応じ、医療機関の受診につなげている。一方、家族内で説得、解決を試みるケースも多いとみられるが、「家族で解決する場合当たりが強くなって、こじれることがある」と、同課は気軽なチームの利用を呼び掛けている。

 ちなみに、これまで訪問した30人のうち1人だけ受診に結び付かなかったが、コロナ禍を受診できない理由に挙げてチームを論破。本当に認知症だったのかは不明だという。

 なお、1日施行された同法は認知症の人が尊厳を保持しつつ、希望を持って暮らすことができるよう、基本的施策などをまとめている。


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