コラム【余塵】

手書きの良さ

 友人から支笏洞爺国立公園のパンフレットを見せてもらった。同公園が国立公園に指定された1949年に製作されたもの。表面には同公園の鳥(ちょう)瞰(かん)図(ず)がイラストで描かれている▼作者は栗谷川健一さん。栗谷川さんは11年に岩見沢市で生まれた。看板屋などに勤めていたが独立し、多くの観光やアイヌ文化などをテーマにしたポスターを手掛けたほか札幌オリンピックにも携わった。99年に亡くなっている▼阿寒国立公園(現阿寒摩周国立公園)のポスターもたくさん描き、その一部は弟子屈町の釧路圏摩周観光文化センターで展示されている。同公園の特徴を優しいタッチで表現しており「行って見てみたい」と思わせる▼支笏洞爺国立公園の鳥瞰図は、横長のパンフレットに支笏湖、洞爺湖、羊蹄山、登別温泉、洞爺湖温泉など観光名所が収められている。遠くには札幌市も描かれ、当時はこれほど広い範囲を実写する技術はなかったはず▼今はパソコンやスマホを使えばポスターは簡単に出来上がる。ただ人の心を揺さぶるような、見るたびに違う感動や発見がある作品はなかなかお目にかかれない。栗谷川さんのパンフレットやポスターを見ていると、その技術、発想力に驚かされる。(星匠)


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