アイスホッケー釧路市
Daishin2冠達成 全日本女子アイホ【釧路市】
アイスホッケーの第44回全日本女子選手権大会(A)は最終日の16日、決勝などの順位決定戦を4試合行った。釧路のDaishinは決勝で道路建設ペリグリン(苫小牧)を3─1で撃破し、1997年の創部以来初優勝を成し遂げ、女子日本リーグとの2冠を達成した。釧路ベアーズは5位決定戦で高須クリニック御影グレッズ(帯広)に2─5で逆転負けし、6位で大会を終えた。(鈴木大聖)
好守がかみ合ったDaishinが初優勝。第1ピリオド10分、FW浮田が相手GKの正面から放った一撃がゴールネットを揺らして先制した。第2ピリオド5分にはパワープレーの好機でDF堤の中距離弾が決まって追加点を挙げると、11分にはFW小平がシュートリバウンドを押し込んだ。3点差で迎えた第3ピリオド4分、反則が重なって3人対5人になった場面でパックを沈められたが、以降はGK川口を中心に無失点で切り抜け、栄冠を手にした。
[写真/【決勝、Daishin─道路建設ペリグリン】第2ピリオド11分、シュートリバウンドを押し込んで3点目のゴールを決めるDaishinのFW小平(左)]
[写真/【決勝、Daishin─道路建設ペリグリン】試合終了のブザーが鳴り、GK川口を中心に歓喜の輪をつくるDaishinの選手たち(佐々木美香撮影)]
[写真/【決勝、Daishin─道路建設ペリグリン】第1ピリオド10分に先制ゴールを決めて喜ぶDaishinのFW浮田(佐々木美香撮影)]
川口 ベストGK選出
○…2023年にも手を掛けていた初優勝と全国2冠。当時は残り5分までリードしていたものの、道路建設ペリグリンに悪夢の逆転負けを喫したDaishin。因縁の相手と2年後に再び頂上決戦で顔を合わせたが、今回は3─1で撃破し、地元で新たな歴史の1ページを刻んだ。
GK川口莉子は相手の猛攻を1失点に封じた。女子日本リーグで2度の日本一を経験しているが、その2回とも60分間GKで出場していたのは、いつも切磋琢磨している佐々木葉月。「チームが勝つことはうれしいが、自分がチームに貢献して勝ちたいという気持ちをずっと持っていた」。
準決勝が終わった後に決勝でのスタメンを告げられ、「やってやるぞ」という気持ちと、日本代表としてさまざまな国際大会に出場してきた実績を持つが、緊張感もあったという。「試合中はずっと『集中集中』と自分に言い聞かせていた。ゼロで終わることはできなかったが、勝ててよかった」と胸をなで下ろした。
ベストGKにも選出された20歳の期待の守護神は「Daishinにいる以上、これからもずっとチームを勝ちに導けるような存在でありたい」と意欲を示した。
ビッグタイトル総なめ
○…相手が反則しなければ止められないほどの攻撃力と、体を張って相手の猛攻を止める守備力を最終決戦で発揮したDaishin。創部29年目にしてついにビッグタイトルを総なめにした。
先制ゴールを決めたのは、幼少期からDaishinで腕を磨いている28歳のFW浮田留衣。「準決勝で2得点できたので、プレーを変えなければ決勝でも得点できると思っていた」と試合に臨み、第1ピリオドの10分に早速先制ゴールを沈めた。結果的に試合の主導権を掌握するゴールとなり「早めの段階で決めることができ、流れをつくることができたゴールだった」。MVPを受賞した本人も納得の一撃だったとうなずいた。
今大会、主力の第1セットで出場したFW小平梅花は今季新加入で、釧路明輝高1年の16歳。決勝で貴重な追加点となる3点目のゴールを決めた。2月末の女子日本リーグファイナル(帯広)の決勝でも同点に追い付くゴールを決めるなど、常に最終決戦で存在感を示している。「気付いたらパックが目の前に来ていた。キーパーも逆を向いていたので押し込むだけだった」と得点シーンを振り返る。活躍が評価されて最優秀新人賞も獲得し「第1セットの皆さんはプレースピードが速くて付いていくのが大変だったが、役割は果たせたと思う」と満面の笑みを浮かべた。
釧路ベアーズ6位
釧路ベアーズが逆転負けで6位。第1ピリオド開始わずか37秒、FW村上がゴール前の混戦でパックを押し込み、幸先良く先制した。第2ピリオドも7分にDF曽我部の中距離弾がネットを揺らして追加点を挙げたが、11分と14分に連続失点。試合を振り出しに戻されて迎えた第3ピリオドでも9分にゴールを割られて勝ち越しを許した。その後も攻め続けたが得点を奪えず、残り1分でGKをベンチに引き上げて6人攻撃に出るも、逆にパックを沈められ、膝を折った。
[写真/【5位決定戦、高須クリニック御影グレッズ─釧路ベアーズ】逆転負けで6位に終わった釧路ベアーズ]
[写真/【5位決定戦、高須クリニック御影グレッズ─釧路ベアーズ】第1ピリオド37秒、試合開始早々、ゴール前の混戦でパックを沈める釧路ベアーズのFW村山(中央)]
大森 競技生活「95点」
○…2点のリードを守り切れず、逆転負けした釧路ベアーズ。今季最終戦を白星で飾ることはできなかったが、苦しい戦力事情ながら、今季も過去5回の優勝を誇る古豪の意地を要所で見せ、Aグループ残留を決めた。
5位決定戦をもってベアーズ一筋16年の競技人生に幕を下ろしたFW大森汐恵主将。引退の花道を飾る勝利とゴールを挙げることはできなかったが、2季にわたってチームをまとめた。任田大泰監督は「優しすぎる部分はあったが、長きにわたってベアーズを支え、うまく下にバトンタッチしてくれた」とたたえた。
試合後のあいさつを終えてベンチに引き上げると、我慢していた涙が一気にあふれ出た大森。「勝って終わることができずに悔しいが、果敢にゴールに向かっていく強い気持ちは見せることができた」と闘争心をむき出しにして戦った最後の60分間を振り返った。16年間のアイスホッケー生活には「本当は100点満点を付けたいが、最後に負けてしまったので95点」。笑いながら思い出が詰まったベアーズのユニホームを脱いだ。
今季最終戦の振り返りで、任田監督は「勝っている状態から安心して負けるという今シーズンのベアーズを象徴するような試合。甘い部分が今季最後の試合でも出た。甘い部分を詰めていく」と隙のないチームづくりをしていくことを誓った。
◇順位決定トーナメント
▽3位決定戦
TOYOTA CYGNUS 3(0─0,0─0,2─2,延 長,0─0,PSS,1─0)2 SEIBUプリンセスラビッツ
▽5位決定戦
高須クリニック御影グレッズ 5(0─1,2─1,3─0)2 釧路ベアーズ
▼得点者【高】①梅森(篠田)2P11分22秒②梅森2P14分11秒③中條(梅森、笹村)3P9分43秒④梅森(類家)3P19分35秒⑤梅森(類家)3P19分59秒【ベ】①村上(石田、佐野)1P37秒②曽我部(石田、佐藤亜)2P7分4秒
▼シュート数【高】21(4、9、8)【ベ】29(12、11、6)
▼反則【高】3【ベ】2
▽7位決定戦
昭和大学ブルーウィンズ 3(0─0,2─0,1─0)0 北海道バーバリアンズHCインフィニティ
◇決勝トーナメント
▽決勝
Daishin 3(1─0,2─0,0─1)1 道路建設ペリグリン
▼得点者【D】①浮田(冨内)1P10分6秒②堤(多田藍、山本)2P5分26秒③小平(野呂莉、浮田)2P11分53秒【道】①後藤(細山田)3P4分7秒
▼シュート数【D】22(7、11、4)【道】24(10、8、6)
▼反則【D】3【道】6
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