気象・災害釧路市

津波警報 根室・花咲80㌢ カムチャツカ半島でM8.7

 30日午前8時25分ごろ、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震があった。地震の規模はマグニチュード(M)8・7と推定される。これに伴い気象庁は釧路、根室管内を含む太平洋側など広い範囲に津波警報と注意報を発令。根室市花咲で80㌢、霧多布港(浜中町)で60㌢などの津波が観測された。浜中町の沿岸部全域や同管内沿岸部に避難指示が出され、公共施設や学校、津波避難タワーなどに多くの住民が避難。交通機関の運休や道路の通行止め、スーパーや商店、コンビニエンスストアなどで休業が相次ぐなど、住民生活に大きな影響を及ぼした。午後5時現在までに、同管内で命に関わる人的被害は発生していない。 

 霧多布港60㌢、釧路は40㌢ 

 気象庁によると午後5時現在、根室市花咲(午後2時57分)80㌢、霧多布港(同1時11分)60㌢、釧路港(同1時44分)40㌢の津波が観測された。釧路管内では、釧路市で避難中に体調を崩した女性が救急搬送されたほか、浜中町内の避難所に避難していた子供が転倒して軽いけがを負った。
 JR北海道では、特急おおぞら10本、根室線36本、釧網線12本、花咲線9本を運休または部分運休。路線バスは、くしろバス、阿寒バスともに注意報から警報に切り替わった時点で全便運休とし、都市間バス「スターライト釧路号」、空港連絡バスも運休した。道路では、国道38、44、244号の6区間、道道や市道でも通行止めが相次いだ。
 釧路市は午前8時37分、警戒本部を設置。同9時40分の津波警報発令で災害対策本部に切り替え、避難場所開設を指示した。同9時55分には、春採川と音別川の樋門を閉鎖。釧路港は同10時42分に30㌢の津波を観測した。同10時59分には沿岸域の2813世帯、4050人に避難指示を発令。避難者は阿寒、音別地区を含め最大3827人(午後2時現在)となり、指定避難場所以外の公共施設なども含めた62カ所で受け入れた。内陸部の阿寒地区は、行政センターや道の駅を中心にピーク時は自家用車130台が避難。音別地区は最大288人が7カ所に避難した。
 釧路市内の小中学校では、すべての部活動と学習サポートなどを中止した。午後4時現在、53カ所に1621人が避難中。市では避難状況や地域を確認しながら、避難場所を25カ所に集約して対応する。
 市内ではこのほか、一時避難先となった釧路地方合同庁舎にピーク時で400人以上が訪れ、釧路財務事務所の職員らが水やカロリーメイトを配布するなど対応に追われたほか、各ホテルでは、おにぎりやパンを提供するところもあった。
 市役所防災庁舎に小学6年の孫と愛犬と避難した女性(62)は「手続きのため役所を訪れるタイミングだった。不安だが落ち着くまで避難する」と話した。
 店舗を臨時休業とし、同図書館に職員4人で避難してきたという、カネジュー池田仏具店の池田ハル子会長(81)は「命が最優先。注意報が発令された時点で避難してきた。非常におそろしい」と話していた。
(森崎博史、荒井純、河辺由記子、小西靖)

[写真/釧路市生涯学習センターに避難してきた人たちが釧路川河口を眺める様子。満杯の駐車場に次々と車が来て渋滞も発生した(30日午前11時30分ごろ)]

 弥生、花咲港の防潮堤閉門 根室、17施設に市民ら避難

 根室市災害対策本部は広報車や防災無線での広報を行ったほか、弥生町、花咲港の防潮堤を閉門。午後4時現在、指定避難所、待避所、市役所の17施設に56人が避難している。
 また、市内路線バス全便、JR花咲線全線、予約型乗り合い交通(モビ)は運転を見合わせ。ごみ収集、し尿収集については津波警報が発令され、一部沿岸地区の収集作業が困難なため、一部地区の収集を中止。燃やせるごみは31日に収集。し尿収集については各収集業者より個別に調整の上対応するという。
 花咲港会館には午後0時45分ごろ、30人が避難。夫婦で避難していた花咲港町会連絡協議会長の大塚照靖さん(71)は「東日本大震災を見ているので直ちに避難しなければと思った。身の安全確保が第一。年に一回の避難訓練が役に立った」と話していた。(島津昌和)

[写真/弥生町の防潮堤を閉門する様子(根室市、30日午前9時20分ごろ)]


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