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新型肺炎、対策広がる

 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大により、道内でも患者が確認された。流行が広範囲、長期化する懸念もある中、釧路管内でも官民を挙げて予防対策を講じ、影響を抑える取り組みが進んでいる。未然防止は事業者のみならず、市民一人一人の理解も求められている。(山本雅之、須貝喜治、森崎博史、水谷友路)

 ■宿泊キャンセル3300人

 釧路市の調べによると、29日午後4時現在、釧路市内で中国からの宿泊キャンセルが約3300人に達した。内訳は阿寒湖温泉で約3000人、釧路市中心部で約300人。「団体客の宿泊が多い阿寒湖温泉地区で多く、影響が大きい。今後も増加する可能性がある」とみている。

 市は30日、副市長や関係する部長らが集まって1回目の庁内連絡会議を開き、現状や対応などについて情報を共有。「市民への周知が大切」として、さっそく市のホームページ(HP)を更新して相談窓口の連絡先を掲載。正しい手の洗い方やせきをする際のエチケットに関するチラシもダウンロードできるようにし、予防の徹底を求めている。

 国土交通省は、新型コロナウイルスに関する予防・まん延防止の徹底について、全国のバス協会やタクシー協会などに要請、通達を出した。釧路管内のバス、ハイヤー事業者も事態を重く受け止め、マスクの着用や咳エチケット、手洗いの徹底などを励行するとともに、有事への備えも進めている。

 釧路と道内各地を結ぶ都市間バスなどを運行する、くしろバスと阿寒バスは全乗務員にマスクを支給、着用を徹底している。くしろバスは「感染規模がさらに拡大するようであれば、車内の消毒も視野に入れている」。阿寒バスは「乗務員や乗客向けの手指消毒剤を全車両に積載する予定。外国人客が多い空港連絡バスなどから優先して配置する」と方針を示している。釧根地区ハイヤー協会も各事業所にマスク着用や手洗い、うがい、手指消毒を呼び掛けている。

 ■マスク品薄1人1点

 釧路町桂木1のイオン釧路店は、品薄状態となってるマスクの販売を30日から1人1点限りとし、売り場に広告を掲示。「今後の入荷の見通しが分からない。お客さまにご迷惑を掛けるが協力してほしい」と話した。このほか、手指消毒液やアルコール除菌スプレーなど衛生用品の売り切れはない。一方、従業員についても予防を優先。原則、接客時の「マスク着用禁止」のルールを、イオン北海道では個人の判断に委ねると容認した。今後、感染拡大が確認された場合、マスク着用を指示する予定という。

 新型コロナウイルスによる肺炎が正式に感染症法の「指定感染症」になる2月7日以降、患者は必要に応じて全国に約400ある「感染症指定医療機関」に入院する。釧路管内は市立釧路総合病院。釧路保健所によると、新型コロナウイルスに関連した問い合わせは毎日数件あり、市民の関心の高さがうかがえる。万が一、感染の疑いや症状が表れた場合はインフルエンザ同様、患者の隔離が不可欠。「直接、医療機関に行くのではなく、まず保健所に電話連絡をしてほしい」と注意喚起に努めている。問い合わせは0154(65)5811へ。

 ■中小企業に道の融資

 道は新型コロナウイルス関連肺炎の流行で経営に影響を受けている中小企業に対して、経営・金融に関する特別相談室や融資制度を設けた。釧路総合振興局では商工労働観光課に相談室を設置。道の補助金や融資制度、専門機関への紹介など多角的な支援相談に応じる。

 今回設けた融資制度は、新型コロナウイルス関連肺炎の流行による直接的、間接的な影響を受けた事業者が対象。原則として、最近1カ月間の売り上げが前年同期比で10%以上減り、その後2~3カ月間の売り上げについても同様の減少が見込まれる中小企業などとしている。

 融資金額の上限は1億円で、融資期間は10年以内(うち据え置き2年以内)。融資利率は、固定金利が5年以内で年1・0%、10年以内で1・2%、変動金利は年1・0%(融資期間が3年を超えるものに限る)としている。適用期間は2020年1月29日から21年1月31日まで。問い合わせは同課0154(43)9182へ。

[写真/マスクを着用して乗務する阿寒バスの運転手(30日、釧路駅前バスターミナル) ]


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