コラム【余塵】

花咲小

 創立144年の根室市立花咲小学校―わが母校である。現校舎は1976(昭和51)年の建設で耐震化されておらず、この4月に旧啓雲中校舎へ移転することが決まっている。自分の花咲小学校の思い出は、当時の木造校舎とともに、だ。忍び込むのも容易で、夜の校舎で「怪談話」を検証する肝試しを決行した。大騒ぎの翌日は、当然ながら校長室に呼び出されての大目玉▼73年卒のわれわれ世代ともなると記憶はあいまいだ。ほかのことは忘れていても、同世代のほぼ全員が「覚えている」と口をそろえるのが「うららかに~」で始まる「卒業式の歌」だ▼ずっと花咲小オリジナルだと思っていたが、童謡「かっこう」の訳詞などで知られる小林純一作詞、西崎嘉太郎作曲の式歌で1950年代から局所的に歌われていたようだ。道内ではほぼ花咲小のみ。長野県ではわりと歌われているようだが▼在校生や先生、父母、卒業生が掛け合いで唄う15分強に及ぶ壮大な曲だ。時代の流れで花咲小も大分簡略化されているが▼現校舎最後の卒業式が18日に執り行われた。コロナ禍で「卒業式の歌」も音源を流すのみ。われわれ同様に記憶にとどまってくれていることを願うばかりだ。にっくきは「コロナ」なり。(山本繁寿)


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