作品展・展示会札幌市根室市

元島民の思い写真に 志発島3世の山田さん、札幌で初の写真展

 【根室、札幌】北方領土・歯舞群島の志発島3世で、東京都在住のカメラマン山田淳子さん(40)の初の写真展「島々の記憶色丹・国後・歯舞・択捉故郷への想い、巡る旅」が3日から、札幌市の富士フイルムフォトサロン(中央区大通西6の1)で始まる。自分のルーツをひも解こうと始まった撮影は、コロナ禍で思うに任せなかったが、余計な色のない白黒写真からは時の流れが見えるようだ。

 山田さんは、道外以外で元島民が多く暮らす富山県入善町出身。そのルーツは曽祖母と祖父が暮らした志発島。島について聞いたことはなく、後に親戚から聞く曽祖母の逸話などから「明治大正昭和と生きた曽祖母の暮らしぶりを知りたい。島のことを知らずして私のルーツは語れない。(元島民の)島の記憶を集めて物語にしたい」とシャッターを切り出した。

 編集に携わっていた山田さんがカメラマンとしてキャリアを積み出したのは2019年。ルーツをたどる元島民の撮影で本格化する。昨年7月には撮影を兼ねて洋上慰霊にも参加。悪天候で出港はかなわなかったが、元島民も撮影した。

 写真には、それぞれが語った印象的な言葉を添えている。出品作業に際し、年齢を書き換える作業に時間の経過を感じ、さらに写真展の告知を地元東京で行ったが「北方領土のことを知らない人があまりに多く、北方領土問題の現実を思い知った」と話す。

 「私は元島民の皆さんの仲介役。『島にもう一度行きたい』『北方領土のことを知ってほしい』という元島民の思いを写真を通して感じてほしい」と話す。

 写真展は元島民20人と、ビザなし渡航で行った色丹島の風景写真を出品している。「北方領土の日」(7日)をまたいで8日まで。開館時間は午前10時~午後6時、入館無料。(山本繁寿)

[写真/写真展の告知はがき]

[写真/山田淳子さん]


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